令和6(2024)年5月17日、「民法等の一部を改正する法律」が成立し、令和8(2026)年4月1日に施行されます。
令和8年4月1日の改正民法施行で変わることを自分の勉強のためにまとめました。
- 離婚後の共同親権の任意的な導入
- 養育費に関する一般先取特権
- 法定養育費
離婚後の共同親権について(離婚後の親権者)
令和8年4月1日の改正により、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。
第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
1 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の双方又は一方を親権者と定める。【改正前後の比較】
第1項(改正前)その一方を親権者と定めなければならない。
(改正後)その双方又は一方を親権者と定める。
・父母いずれかの単独親権か又は共同親権かに関しては、当然、父母の合意が必須です。
・合意できない場合(協議が整わない場合)は、家庭裁判所が審判によって定める。(第819条第5項)
・協議離婚においては、第1項の協議が整っていることが離婚届での受理要件となっている。(第765条)
戸籍法第78条【協議による親権者の届出】
民法第819条第3項但書又は第4項の規定によつて協議で親権者を定めようとする者は、その旨を届け出なければならない。
・離婚時に、親権者を一方の親と決めた場合、親権者とならない他方の親(以下、「他方の親」)は確定的に親権を失い、親権を持つ者が死亡等により欠けた場合でも、当該他方の親が親権者に自動的になるものではなく、親権者を欠いたものとして第838条が適用され、後見が開始される。
養育費の先取特権化
従来は、民法上で一般先取特権として認められていたのは4種類でしたが、養育費はが第3順位の一般先取特権となります。
- 共益費用(債務者の財産を保全させるのにかかった費用)
- 雇用関係の債権(給料など)
- 養育費
- 葬式費用
- 日用品の供給(光熱費など)
先取特権が認められるのは養育費全額についてではなく、「子の監護に要する費用として相当な額」です。この「相当な額」は、法務省令で定めることになります(改正民法308条の2)
第308条の2
子の監護の費用の先取特権は、次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額)について存在する。
債務名義について(離婚協議書があれば養育費については即強制執行できる)
先取特権は、「担保権の存在を証する文書」(民事執行法181条1項4号、193条1項)を提出すれば強制執行ができます。
離婚協議書を強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しなくても、養育費については即強制執行できるようになります。
慰謝料や財産分与の強制執行をする場合は離婚協議書だけではできません。離婚協議書を公正証書を作ることが全く無意味になったわけではありません。
法定養育費について
法定養育費とは、法律の規定によって元配偶者に養育費として一定額を請求できる制度です。
相手との間で養育費支払いのルールを定めなかった場合も養育費を請求することが可能になります。(子どもと同居する親が別居親に請求できます。)
子ども1人につき月額2万円です(法務省が正式決定)(2025年11月26日公表)
https://www.moj.go.jp/content/001449160.pdf
法定養育費の制度が適用されるのは2026年4月1日以降に離婚した人のみ
2026年4月1日施行日以降に離婚するケースが対象です。法定養育費制度が始まる前に離婚した場合は、法定養育費を請求できません。
2026年4月1日以降に離婚してしまった場合、まずは法定養育費の制度を利用しつつ、家庭裁判所の調停手続などを進めていくことになります。
法定養育費は、離婚の日にさかのぼって請求することが可能です。
法定養育費の受け取り(支払い)が終わる時期
法定養育費は、以下のいずれかの日が到来するまで発生します。
- 父母の協議により、養育費の分担についての定めをした日
- 養育費の分担についての審判が確定した日
- 子どもが成年(18歳)に達した日
(改正民法766条の3第1項)(子の監護に要する費用の分担の定めがない場合の特例)
相手の経済状況によっては法定養育費を受け取れない
債務者が支払能力を欠いている場合や、支払いによって生活が著しく困窮することを証明できた場合は、法定養育費の全部または一部の支払いを拒否することができます。
当該他の一方は、支払能力を欠くためにその支払をすることができないこと又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫することを証明したときは、その全部又は一部の支払を拒むことができる。
(改正民法766条の3第1項但書)
