相続登記の依頼は相続人全員の合意ができそうでなければ受けない(司法書士が相続登記の相談を受けた時)

(司法書士が相続登記の相談を受けた時の注意点です)

相続登記の依頼は相続人全員の合意ができてなければ受任しません。

1.まず法定相続情報一覧図の依頼を受ける
2.相続人全員の合意ができそうだ

2の段階で登記の依頼を受けます。

一覧図の報酬は納品時にいただきます。

相続人全員の合意ができなければ結果的に登記できない場合があるためです。

相続登記とは、相続人全員で合意した遺産分割の結果を登記簿に記載させる手続きです。合意が成立していなければ登記申請できません。

相続人が多数で当事者による遺産分割協議が事実上不可能の場合

相続人が20人以上いるような、当事者による遺産分割協議が事実上不可能な場合の選択肢は複数あります。

1.まずは手続きを中断する(一旦放置する)
相続人調査をして法定相続情報一覧図を作成し、遺産分割協議ができそうになければ手続きを中断します。

放置すれば行政罰のリスクがありますが、遺産分割が複雑な事案では逆に罰則を受けたほうが安くつくこともあります。

2.弁護士へ依頼を勧める
司法書士は遺産分割協議の代理はできません。紛争性があれば弁護士に引継ぐことになります。

相続人調査までで止めて未登記のままで弁護士への依頼を勧めます。

3.相続人申告登記の申出
①所有権の登記名義人について相続が開始した旨、
②自らがその相続人である旨
を申請義務の履行期間内(三年以内)に登記官に対して申し出ることで、申請義務を履行したものとみなす制度です。
登記手続き自体は法務局が職権で行います。

相続人申告登記の後、遺産分割協議が成立し、所有権を取得した場合は、遺産の分割の日から三年以内に所有権の移転登記を申請する必要があります。

4.法定相続登記
はじめから協議をあきらめて、相続人の一人から法定相続分通りに相続登記をやります。
相続人の中に相続放棄をした人がいれば間違った登記となるので更生登記を申請しなければなりません。

数次相続で相続人が多数の法定相続登記は費用が高くなるので、お勧めしません。
法定相続登記を受託する場合にはデメリットに関する説明を受けたことについて依頼者から一筆頂きます。

【他の相続人の同意なく法定相続登記を入れるのに慎重になる理由】
他の相続人の同意なく保存行為として法定相続登記を入れることは、他の相続人からどれだけ恨まれるか分かりません。

・推定相続人全員は同意なくご自身の住所と氏名を登記記録上に勝手に公示されてしまう
・他の相続人の方の登記識別情報(権利証)ができないので売るときに金銭面でも時間面でもコストが高くなる

弁護士に相談済みで訴訟するのが前提になっているケースでなければやらないと思います。

5.遺産分割調停に進む
相続分の譲渡を活用しながら「遺産分割調停(遺産分割審判)」をする方法になります。

遺産分割調停とは裁判所を使った相続人同士の話し合いです。

相手方多数の遺産分割調停事件については、最終的に「調停に代わる審判」(家事事件手続法284条)により終局する事例が多いです。

審判に進めば、裁判官は法定相続分に従って遺産分割方法を決定します。

これらをメリット、デメリット含めて依頼者に説明します。

相続登記をするかしないかのデメリットの説明

相続登記の義務化によって行政罰のリスクがあります。

1. 登記を行う場合(法的責任を引き受けることになる)
行政側から見て「税金の支払いや行政処分の対象者」が確定する。
登記名義人に向けられる。

2. 登記を放置する場合(行政罰のリスクがある)
正当な理由なく登記を怠れば、10万円以下の過料(行政罰)の対象となる。

罰則を受ける場合が限定されていること、複雑な事案では逆に罰則を受けたほうが安くつくこともある。

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