【会社法】「株式会社の設立」における試験のポイント

株式会社の設立は
1.定款の作成
2.株主の確定
3.設立時役員等の選任
4.創立総会(募集設立のみ)
この手続きの流れを意識するのが大切です。

1.定款の作成

定款の作成者

定款は発起人が作成します。

発起人全員の署名(または電子署名)または記名押印が必要です。(会社法26条)

各発起人は1株以上の引き受ける義務があります。

定款記載事項

1 定款の記載事項には、

絶対的記載事項(会社法27条):法律上必ず記載しないと定款が無効となるもの
相対的記載事項:定款に記載がなくても定款が無効にはならないが、定款に記載しないと効力が生じないもの
任意的記載事項:記載してもよいし、しなくてもいいもの

相対的記載事項とは、絶対的記載事項と異なり、定款に記載がなくても直ちに定款の無効を招来しないが、記載がない以上その事項につき効力が認められない事項です。

絶対的記載事項(会27条)

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • 発起人の氏名又は名称及び住所

相対的記載事項

設立に関しては、変態設立事項(会社法28条)が大切です。

  1. 現物出資
    ⇒株式の出資として現金以外の物(例えば、不動産や機械設備)を使用すること。

  2. 財産引き受け
    ⇒会社設立後に、会社が特定の財産を取得することを条件とすること。

  3. 発起人が受ける報酬、特別の利益
    ⇒発起人が会社設立に際して、特別な利益を受けること。

  4. 成立後の会社が負担する設立費用

会社法第28条(定款の記載又は記録事項)

株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は、第26条第1項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。

1.金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数(設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合にあっては、設立時発行株式の種類及び種類ごとの数。第33条第1項第一号において同じ。)
2.株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称
3.株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益及びその発起人の氏名又は名称
4.株式会社の負担する設立に関する費用(定款の認証の手数料その他株式会社に損害を与えるおそれがないものとして法務省令で定めるものを除く。)

公証人の認証

発起人が作成した原子定款は公証人の認証を受けなければいけません。(会社法30条1項)

認証を受けた定款は、原則として株式会社の設立前は変更できません。(会社法30条2項)

例外として変更できるのは次の場合です。

〇発起設立の場合
変態設立事項(会社法28条)について検査役の調査を受けたときに、現物出資財産等について定款記載の価額と実際の価額が異なる場合。
発行可能株式総数を定めていない場合、又はこれを変更する場合(第37条)
〇募集設立の場合
設立時募集株式の払込期日までに、変態設立事項と発行可能株式総数の変更についてなされた場合(第95条)
創立総会で変更が決議された場合(第96条)

変態設立事項についての検査役の調査

会社設立時に現物出資した場合には、原則としては、検査役の調査を受けなければいけません。

例外として次の3つの場合には、検査役の調査は不要となります。

1現物出資財産について定められた「価額の総額」が500万円を超えない場合

【添付書面】
設立時取締役等の調査報告書及び附属書面

2市場価格のある有価証券の場合
【添付書面】
有価証券の市場価格を証する書面

3現物出資財産の価額の相当性について弁護士等の証明を受けた場合(不動産の場合には不動産鑑定士の鑑定評価も必要)
【添付書面】
弁護士等の証明を記載した書面及びその附属書面

2.社員(株主)の確定

発起人全員の同意で設立時発行株式に関する事項を決定します(会社法32条1項)

募集設立の場合発起人全員の同意で設立時募集株式に関する事項を決定します。(会社法58条2項)

会社設立で現物出資する場合、
・原則として、検査役の調査を受けなければなりません。
・現物出資できるのは、発起人に限られます。

発行可能株式総数の決定と変更

発行可能株式総数は会社設立時までに決定しなければいけません。

決議要件は
・発起設立の場合は発起人全員の同意です。
・募集設立の場合は発起人全員の同意または創立総会決議です。ただし、払込期日または期間の初日以後は発起人全員の同意では変更できなくなります。

3.設立時役員等の選任(および解任)

発起設立の場合、設立時役員は、発起人の議決権の過半数の同意で選任します。

募集設立の場合、創立総会決議で選任します。

※取締役等選解任付株式を発行している場合を除きます

設立時代表取締役の選定は、設立時取締役の過半数で決定します(会社法47条3項)

4.創立総会(募集設立のみ)

創立総会の決議事項は、原則として招集通知で定めた会議の目的である事項に限定されます。ただし、定款の変更と設立の廃止については、通知有無に限らず決議が可能です。

創立総会の決議方法(会社法73条)
① 創立総会の決議は、当該創立総会において議決権を行使することができる設立時株主の議決権の過半数であって、出席した当該設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。

設立時取締役による設立過程の調査

設立時取締役(監査役設置会社では設立時取締役及び設立時監査)による設立過程の調査をしなければいけません。

その他重要な先例など

発起人が法人である場合でも、その法人の定款を添付する必要はありません。

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