不動産投資において建物の構造は収益性に直結します。
この記事では、代表的な4つの構造(RC造、S造、SRC造、木造)の特徴について、解説します。
建物の代表的な4つの構造とは?
日本の建物構造は、主に以下の4種類に分類されます。
木造(W造): 主要構造部に木材を使用。戸建てや小規模アパートに多い。
S造(鉄骨造): 骨組みに鉄骨を使用。「軽量鉄骨」と「重量鉄骨」に分かれる。
RC造(鉄筋コンクリート造): 鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造。中低層マンションに多い。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造): 鉄骨の周りに鉄筋コンクリートを配した構造。高層ビルに採用される。
各構造の深掘り解説:メリット・デメリットと特徴
木造(W造)
木造は、古くから日本の気候に最適な工法として親しまれてきました。
スギやヒノキなどの木材を骨組みに使用します。伝統的な「在来軸組工法」と、パネルで支える「2×4(ツーバイフォー)工法」があります。
メリット:
建築コストが最も安い: 他の構造に比べ、1坪あたりの工事費が格段に抑えられます(木造:約56万円/坪、RC:約79万円/坪)。
調湿効果: 木材が湿気を吸放湿し、快適な室内環境を保ちます。
税制メリット: 法定耐用年数が短いため、減価償却費を多く計上でき、節税効果が期待できます。
デメリット:
遮音性の低さ: コンクリート系に比べ音が伝わりやすく、騒音トラブルのリスクがあります。
耐久性と火災リスク: シロアリや腐食の対策、定期的なメンテナンスが不可欠です。
S造(鉄骨造)― 自由な間取りと強度の両立
鉄骨の厚み(6mmが境目)によって、性能が大きく異なります。
軽量鉄骨造(6mm未満): 大手ハウスメーカーのアパートや戸建てに多く、品質が安定しています。
重量鉄骨造(6mm以上): 3階建て以上のマンションやビルに用いられ、柱を減らした大空間が作れます。
メリット:
設計の自由度: RC造より柱を細くでき、開放的な窓や広いリビングが実現可能です。
工期が短い: 部材が工場生産されるため現場作業がスムーズで、建築費用もRCより抑えられます。
デメリット:
揺れやすさ: 鉄は粘り強いため地震で壊れにくい反面、ゴムのように変形して揺れを吸収するため、振動を感じやすいです。
熱に弱い: 鉄は高温で強度が急低下するため、耐火被覆の処理が必要です。
RC造(鉄筋コンクリート造)
「引張力に強い鉄筋」と「圧縮力に強いコンクリート」を組み合わせた、粘り強く堅牢な構造です。
メリット:
最高の遮音性: 壁が厚いコンクリートで覆われているため、隣室の生活音を大幅にカットします。
高い耐震・耐火性: コンクリート自体が燃えないため火災に強く、震災時の安心感も大きいです。
資産価値の維持: 法定耐用年数が47年と長く、長期間の融資が受けやすいのが特徴です。
デメリット:
コスト高: 建築費や解体費が高額で、地盤改良が必要になるケースも多いです。
結露の問題: 気密性が高すぎるため、適切な換気を行わないとカビや結露が発生しやすくなります。
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
RC造の中にさらに鉄骨を内蔵した、最も強固な構造です。
メリット:
超高層対応: 強度が極めて高いため、タワーマンションなどの大規模建築に最適です。
遮音・耐火の最高峰: あらゆる構造の中でトップクラスの性能を誇ります。
デメリット:
最高額の建築費: 施工が複雑で工期も長く、最もコストがかかります。
減少傾向: 近年はRC造の強度が向上したため、以前よりも採用されるケースが減っています。
構造と収益の関係について
法定耐用年数は減価償却費と金融機関の融資期間に関わってくる
法定耐用年数とは、税法によって定められた、建物の資産価値を公的に見積もった期間のことです。
減価償却資産の「耐用年数」とは、通常の維持補修を加える場合にその減価償却資産の本来の用途用法により通常予定される効果をあげることができる年数、すなわち通常の効用持続年数のこと
この期間は、建物の物理的な寿命を指すものではなく、主に税務上の減価償却費の計算や、金融機関が融資期間を決定する際の指標として活用されます。
耐用年数が短いほど、1年あたりに計上できる経費が多くなるため、初期の節税やキャッシュフローの改善に有利に働きます
多くの金融機関は、「融資期間は法定耐用年数内」という基準を設けています。
そのため、耐用年数が長い構造ほど長期ローンを組みやすく、月々の返済負担を軽減できる傾向にあります。
逆に、耐用年数を超えた築古物件は融資が厳しくなり、返済計画が難しくなるリスクがあります
構造別の法定耐用年数
| 構造 | 法定耐用年数(住宅用) | 投資の傾向 |
|---|---|---|
| 木造(W造) | 22年 | 建築費が安く、短い耐用年数を活かして減価償却費を多く計上できるため、短期間での経費化や節税に適しています |
| 軽量鉄骨造 (骨格材厚3mm以下) | 19年 | 全構造の中で耐用年数が最も短く、早期の資金回収や特定の償却ニーズに向いています |
| 重量鉄骨造 (骨格材厚4mm超) | 34年 | 木造とRC造の中間的な耐用年数であり、強度と工期のバランスが取れた中長期の運用に適しています。 |
| RC造(鉄筋コンクリート造)・SRC造 | 47年 | 耐用年数が非常に長いため、長期融資を受けやすく、資産価値が維持されやすい長期的な資産形成向きです。 |
表面利回りと実質利回り
木造は建築費が安いため、表面利回りが高く出やすいです。
一方、RC造はメンテナンス費用や固定資産税が高くなる傾向にありますが、賃料の下落が緩やかで安定した需要が見込めます。
法定耐用年数を超えた物件の出口戦略について
1. 継続保有
法定耐用年数はあくまで「税務上の期間」であり、建物の寿命そのものではありません。
適切にメンテナンスを行うことで、木造アパートでも50年以上の寿命となります。ただし配管の老朽化による漏水リスクはあります。
減価償却が終わると経費計上額は減りますが、ローン完済後であれば、家賃収入の多くを手元に残す運用をし続けることが可能です。
築古物件はすでに賃料が下落しきっているため、それ以上の大きな下落リスクが少なく、収益想定が立てやすいというメリットもあります。
2. 売却
耐用年数を超えた物件を売却する場合、「融資のつきにくさ」が最大の課題となります。
木造の築古物件は、短期間で大きな減価償却費を計上できるため、所得の高い個人投資家などの「節税目的」の購入者には非常に魅力的な商品となります。
一般的な銀行融資は耐用年数内が基本ですが、耐用年数超えでも融資を行う金融機関を利用する層や、自己資金(現金)で高利回り運用を狙う投資家がターゲットになります。
RC造は長期融資を受けやすいため、次の購入者もローンを組みやすく、出口での流動性を確保しやすい側面があります
3. 更地化・建て替え
建物としての価値が低い場合、建物を解体して土地として売却します。この際、構造によって解体費用が大きく異なる点に注意が必要です。
木造: 解体費用は比較的安価です。解体費の安さは、将来その土地を駐車場や別の用途に転用する際のリスクを抑えることにも繋がります
RC造・SRC造: 解体費用が高額になり、出口戦略を圧迫する可能性があります。
構造別の出口戦略の傾向
| 構造 | 出口戦略と特徴 |
|---|---|
| 木造(W造) | 解体費用が1坪あたり約5万円と比較的安価なため、建物を取り壊して「更地売却」することが容易です[1]。また、法定耐用年数が短く、短期間で大きな減価償却費を計上できるため、所得の高い層向けの節税商品としての「築古売却」も一般的です[2, 3]。 |
| 鉄骨造(S造) | コストや耐久性において木造とRC造の中間に位置します[4, 5]。特に重量鉄骨は強固で資産価値が残りやすいため、将来的な売却も視野に入れやすいですが、鉄部のサビ等の修繕状態が建物の寿命や評価に直結するため、日頃のメンテナンスが鍵となります[6, 7]。 |
| RC造・SRC造 | 法定耐用年数が47年と長く資産価値が維持されやすいため、「超長期保有」や、長期的な収益源を家族に残す「相続対策」に適しています[8-10]。ただし、非常に強固な造りゆえに解体コストが極めて高いため、更地化を前提とした出口戦略には慎重な判断が求められます[8, 11, 12]。 |
おわりに
それぞれの構造には一長一短があり、「融資を組めるか」「土地が希望の工法で建てられるか」「想定の部屋数が成立するか」「運用の期間」によって最適な答えは決まります。

