宅建業者は、事務所ごとに、一定の割合で専任の宅建士を置かなければなりません。宅建士という専門家が、取引に必ずかかわる体制を作るための決まりです。
この記事では、何人置けばよいのか、「専任」とはどういう意味か、不足したらどうなるのかを整理します。事務所の意味は「事務所」とは?本店・支店・継続的業務を行う場所、そのほかの備え付けは事務所に備えるもの:標識・帳簿・報酬額表などで説明しています。
この記事のポイント
- 事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で、専任の宅建士を置く
- 専任とは、宅建業に専ら従事する常勤の者のこと
- 専任の宅建士は、成年者でなければならない
- 不足した場合は、2週間以内に補充などの措置をとる
設置の基本ルール
宅建業者は、その事務所ごとに、事務所で宅建業の業務に従事する者の数に対して、5人に1人以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置かなければなりません。
「業務に従事する者」には、宅建士や営業担当者だけでなく、代表者や役員、宅建業に関する事務を行う人なども含まれます。専任の宅建士自身も、その人数に数えます。
たとえば、事務所で働く人の数が決まっていれば、次のように必要な専任の宅建士の人数がわかります。
| 事務所で業務に従事する者の数 | 必要な専任の宅建士の数 |
|---|---|
| 1人〜5人 | 1人以上 |
| 6人〜10人 | 2人以上 |
| 11人〜15人 | 3人以上 |
| 16人〜20人 | 4人以上 |
つまり、5人ごとに1人ずつ増えると考えます。人数が5の倍数をわずかに超えただけでも、必要な人数が1人増えるので注意しましょう。
「専任」の意味
専任とは、その事務所に常勤して、専ら宅建業の業務に従事することをいいます。次のような場合は、専任とはいえません。
- 他の事務所の専任の宅建士を兼ねている
- 別の会社で働いていたり、宅建業以外の仕事を主にしていたりする
- 非常勤で、通常の勤務時間を勤務していない
専任の宅建士は、1つの事務所に、常勤で、宅建業に専念している人でなければなりません。
「成年者」であること
専任の宅建士は、成年者でなければなりません。現在の成年年齢は18歳なので、18歳以上が目安になります。宅建士の資格は未成年者でも取れますが、専任の宅建士となるには成年者である必要があります。
代表者や役員が宅建士の場合
個人で営む宅建業者本人や、法人の代表者・役員が、その事務所で宅建士として業務に従事している場合は、その人が、その事務所の専任の宅建士とみなされます。つまり、自分たちが専任の宅建士となって、設置義務を満たすことができます。
不足した場合の対応
専任の宅建士の数が足りなくなったときは、2週間以内に、新しく補充するなどの必要な措置をとらなければなりません。たとえば、専任の宅建士が退職したときや、従事する人が増えて必要な人数が増えたときが該当します。
また、専任の宅建士の氏名は、免許の記載事項になっています。そのため、専任の宅建士が変わった場合は、変更の届出が必要です。手続は変更の届出(商号・役員・事務所・専任宅建士)で学びます。
専任の宅建士が足りない状態を放置すると、監督処分や罰則の対象になります。また、免許を受けるための要件にも関わります。免許の基準については、欠格事由④ 事務所・専任宅建士の要件不備で確認します。
案内所などの場合
案内所のように、事務所以外で契約の締結や申込みを受ける場所では、専任の宅建士を1人以上置く必要があります。この場合は、従事する人数にかかわらず、最低1人という点が事務所と違います。詳しくは案内所・契約場所の規制:標識と専任宅建士で扱います。
試験でのポイント
- 割合は「業務に従事する者5人に1人以上」。人数の計算問題がよく出ます。
- 専任の宅建士は、成年者で、常勤で、専ら宅建業に従事する人です。
- 他の事務所の専任との兼務はできません。
- 不足した場合は、2週間以内に補充などの措置をとります。
- 事務所以外の案内所などでは、人数にかかわらず、専任の宅建士が1人以上必要です。
確認問題
次の記述が正しければ○、誤りなら×で答えてみましょう。
事務所で宅建業の業務に従事する者が12人の場合、専任の宅建士は3人以上必要である。(答えを見る)
○。12人は10人を超えるので、5人に1人以上の割合で数えると3人以上が必要です。
専任の宅建士が退職して不足した場合は、30日以内に補充しなければならない。(答えを見る)
×。不足した場合は、2週間以内に補充などの措置が必要です。
専任の宅建士は、他の事務所の専任の宅建士を兼ねることができる。(答えを見る)
×。専任とは、1つの事務所で専ら宅建業に従事することなので、兼務はできません。
専任の宅建士は、成年者でなければならない。(答えを見る)
○。専任の宅建士には、成年者であることが必要です。
まとめ
- 事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の専任の宅建士を置く
- 専任とは、常勤で専ら宅建業に従事すること。兼務はできない
- 専任の宅建士は成年者でなければならない
- 不足したら、2週間以内に補充などの措置をとる
次は、従業者であることを証明する書面と名簿について、従業者証明書と従業者名簿で学びましょう。全体の流れは宅建業者になる:定義・免許・事務所・宅建士から確認できます。
