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市街化区域の不動産はどのような規制を受けるのか?調べ方や市街化調整区域との違いを解説

不動産を購入しようとする際、物件資料に必ずと言っていいほど記載されているのが「市街化区域」という言葉です。

不動産投資をするなら「市街化区域」の物件を購入するのが無難です。

この記事では、市街化区域の物件がどのような規制を受けるのか(メリット・デメリット)や、「市街化調整区域」との違いについて解説します。

市街化区域の定義と基本知識

市街化区域とは「現在または将来の街」

市街化区域とは、都市計画法に基づいて指定される「都市計画区域」の一つです。具体的には以下の2つのエリアを指します。

既成市街地:すでに住宅や商店、ビルなどが立ち並び、街として栄えている地域。
優先的・計画的な市街化エリア:今後おおむね10年以内に、優先的かつ計画的に市街地として整備を進めるべき地域。

私たちが普段「街」としてイメージする場所の多くはこの市街化区域に該当し、道路や下水道、公園などの公共施設が優先的に整備されます。

「区域区分(線引き)」という仕組み

都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることを「区域区分(線引き)」と呼びます。

これは、無秩序な開発を防ぎ、計画的なまちづくりを行うための仕組みです。三大都市圏や政令指定都市では必ずこの区分を定めなければなりませんが、地方自治体によっては定めない(非線引き区域)場合もあります。

市街化区域と市街化調整区域の違い

「市街化区域」が街を広げるためのエリアであるのに対し、「市街化調整区域」は街を広げないようにするエリアです。

項目 市街化区域 市街化調整区域
定義・目的 すでに市街地を形成している区域、またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です [1-5]。 市街化を抑制すべき区域とされ、農地や自然環境の保全が優先されます [4-8]。
建築の可否 用途地域の定めに従い、工業専用地域を除いて基本的に自由に住宅を建てることができます [2, 6, 7, 9, 10]。 原則として新たな建築や開発行為は認められず、建築には自治体の許可が必要です [4-7, 11]。
インフラ整備 道路、下水道、公園などの公共施設が優先的・計画的に整備されます [3, 4, 8, 10, 12]。 整備には消極的で、インフラが未整備の場合は自己負担で引き込みが必要になることがあります [7, 13-15]。
用途地域の指定 都市の機能を維持するため、必ず定められます [2, 4, 6, 9, 11, 16]。 原則として定められません [9, 11, 17]。
住宅ローン 資産価値が高く、住宅ローンの審査に通りやすい傾向があります [8, 18]。 資産価値や担保評価が低いため、審査が通りにくい、または借りづらい傾向にあります [13, 14, 18]。

市街化区域内の「用途地域」:13の種類と建築制限

市街化区域内では、さらに効率的な土地利用のために「用途地域」が定められています。これにより、住宅の隣にいきなり騒音の激しい大工場が建つといった混乱を防いでいます。用途地域は大きく分けて3つのグループ、計13種類に分類されます。

① 住居系(8種類)

住環境を優先する地域です。

第1種・第2種低層住居専用地域:2階建て程度の低層住宅を中心とした地域。最も厳しい制限があり、良好な住環境が守られます。
第1種・第2種中高層住居専用地域:マンションなどの集合住宅を中心とした地域。
第1種・第2種住居地域、準住居地域:住宅の中に一定規模の店舗や事務所などが混在できる地域。
田園住居地域:農業と調和した低層住宅の環境を守る地域。

② 商業系(2種類)

買い物や遊び、仕事の利便性を高める地域です。

近隣商業地域:近隣住民の日用品の買い物のための地域。
商業地域:百貨店や銀行、娯楽施設が集まる、街の中心部。

③ 工業系(3種類)

工場の利便性を高める地域です。

準工業地域:軽工業の工場やサービス施設。住宅や店舗も多く見られます。
工業地域:どんな工場でも建てられる地域。住宅は建てられますが、学校や病院は不可です。
工業専用地域:住宅を建てることが唯一禁止されている地域です。

市街化区域はどのような規制を受けるのか?メリット・デメリッについて

物件選びの判断材料として、市街化区域の利点と欠点を整理しましょう。

市街化区域のメリット

自由度の高い土地活用:工業専用地域を除き、誰でも建物を建てることができ、建て替えもスムーズです。
インフラの充実:水道、ガス、電気、公共交通機関(駅・バス)、学校、病院などの社会インフラが整っています。
高い資産価値と流動性:需要が高いため、売却や賃貸がしやすく、価格の下落リスクも比較的低いです。

市街化区域のデメリット(どのような規制を受けるのか)

税負担(都市計画税):後述する都市計画税が毎年課税されます。
購入価格が高い:利便性が高い分、市街化調整区域と比較して土地・建物の価格が高くなります。
騒音や交通量:人や車が集中するため、騒音や渋滞などの問題が発生しやすい側面があります。
建築制限:用途地域ごとに「建ぺい率」や「容積率」が細かく決まっており、同じ面積の土地でも建てられる建物のサイズが制限されます。

市街化区域にかかる税金:都市計画税について

市街化区域内に不動産を所有していると、固定資産税に加えて「都市計画税」が課されます。

納税対象者:毎年1月1日時点で市街化区域内に土地・建物を所有している人。
計算式:課税標準額 × 税率(上限0.3%)。
使い道:道路や公園、下水道整備などの都市計画事業に充てられます。

住宅用地には軽減措置がありますが、維持費として毎年発生することを念頭に置く必要があります。

市街化区域かどうかを調べる3つの方法

検討している物件やエリアがどの区域にあるかは、以下の方法で簡単に調べられます。

物件資料を確認する:不動産サイト(SUUMO、アットホームなど)の「物件概要」欄にある「都市計画」や「用途地域」の項目を確認します。「第1種住居」などの記載があれば市街化区域です。
インターネットで検索する:自治体が公開している「都市計画図」を利用します。「〇〇市 都市計画図」と検索すれば、色分けされた地図で確認できます。
役所の窓口で聞く:市町村役場の都市計画課などの担当部署に行けば、より正確な建築制限や将来の計画についてアドバイスを受けられます。

市街化調整区域で例外的に家が建てられるケース

市街化調整区域は、原則として住宅を含む新たな建築は制限されています。

一定の条件を満たし、自治体から許可(都市計画法第34条に基づく許可など)を得ることで、例外的に家を建てられるケースが存在します

1. 既存宅地(線引き前宅地)

その土地が市街化調整区域に指定(線引き)される前から、すでに住宅が建っていた、あるいは宅地として利用されていた土地である場合です。登記簿や航空写真、固定資産税の課税記録などで「宅地利用の継続性」が確認できれば、再建築が認められる可能性がありますが、判断は自治体により異なります。

2. 都市計画法第34条に基づく建物

都市計画法第34条は、市街化を抑制すべき「市街化調整区域」において、原則禁止されている開発行為を例外的に許可するための基準(立地基準)を定めた条項です。

周辺居住者の生活に必要な店舗・施設(コンビニ、診療所、福祉施設など)や、観光資源等の有効利用に必要な建物(観光施設など)は許可が下りる可能性があります。

3. 開発許可取得済の分譲地

デベロッパー(不動産開発業者)があらかじめ自治体から開発許可を取得して分譲した住宅地であれば、購入後に個人で住宅を建築することが可能です。

この場合、見た目や手続き上は市街化区域に近い感覚で建築できますが、建物の高さや用途に制限が残ることがあります。

4. 自治体の条例による緩和

各自治体が独自の条例を定めている場合、特定の区域内であれば開発許可が出るケースがあります。

近年では、無秩序な開発を抑えつつも、世帯分離のための住宅や幹線道路沿いのコンビニ・ガソリンスタンドなど、公益上必要な施設や地域の維持に必要な建築について規制緩和を進めている自治体もあります。

宅建受験者向けの市街化区域における特則を教えて

宅建試験において「市街化区域」は重要ポイントです。

試験で問われやすい主な特則が次の3つ(都市計画法、国土利用計画法、農地法)です。

1. 都市計画法:開発許可の面積要件

市街化区域内で開発行為(建築物の建築などのために土地の区画形質を変更すること)を行う場合、原則として都道府県知事の開発許可が必要ですが、面積による特則があります。

原則として1,000㎡以上の開発行為が許可の対象となります。

・大都市圏の特例: 三大都市圏の既成市街地や近郊整備地帯などでは、より厳しく500㎡以上(自治体の条例により300㎡まで引き下げ可能)で許可が必要となります。
・許可不要の例外: 図書館、公民館、変電所などの公益上必要な建築物や、非常災害の応急措置、都市計画事業などは面積に関わらず許可不要です。

2. 国土利用計画法:事後届出の面積要件

土地の売買契約などを行った際の「事後届出」が必要となる面積基準も、区域ごとに異なります。

市街化区域内の土地取引については、2,000㎡以上の場合に届け出が必要です。

土地の取得者が、契約締結後2週間以内に市町村長を経由して都道府県知事に届け出る必要があります。

3. 農地法:農地転用の特則

農地を宅地などに転用する場合、通常は都道府県知事等の「許可」が必要ですが、市街化区域内では手続きが簡略化されています。

市街化区域内の農地を転用(自己転用・転用目的の権利移動)する場合、あらかじめ農業委員会へ届け出をすれば、知事の許可は不要となります。

これは、市街化区域が「計画的に市街化を図るべき場所」であり、農地から宅地への転用をむしろ推奨しているためです

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