宅建業とは、ひとことで言えば「不動産の売買や仲介などを、仕事として行うこと」です。宅建業を営むには国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要で、免許なしに行うと罰則の対象になります。
では、どこからが「宅建業」で、どこまでが「ただの不動産の取引」なのでしょうか。その境目は、法律の定義に出てくる4つのキーワード「宅地」「建物」「取引」「業」で決まります。この記事では、4つのキーワードを順に確認し、最後に具体例と確認問題で理解を固めます。なお、このページは宅建業者になる:定義・免許・事務所・宅建士の最初の記事です。
この記事のポイント
- 宅建業は「宅地」または「建物」を対象に、「取引」を「業」として行うこと
- 「取引」のうち、自分で貸す(自ら貸借)は含まれない
- 「業」とは、不特定多数を相手に、反復継続して行うこと
- 4つのうち1つでも欠けると、宅建業には当たらない
宅建業の定義を分解する
宅建業法では、宅建業を次のように定めています。条文をそのまま覚える必要はありませんが、構造を理解しておくことが大切です。
- 宅地または建物について、売買や交換を、自分で行う
- 宅地または建物について、売買・交換・貸借の代理または媒介を行う
- 上の行為を、業として行う
この定義の中に、「宅地」「建物」「取引」「業」の4つのキーワードが入っています。「宅地または建物」が1つ目と2つ目、「売買・交換・貸借の自ら・代理・媒介」が3つ目、「業として」が4つ目です。
キーワード① 宅地
宅地とは、大きく分けて次の2つの土地を指します。
- 現在建物が建っている土地、または建物を建てる目的で取引される土地
- 用途地域内の土地(ただし、道路・公園・河川・広場・水路として使われているものを除く)
ポイントは、登記簿上の地目(田・畑・山林など)ではなく、「建物の敷地にするかどうか」という使い方で判断することです。また、用途地域内の土地は、原則として宅地として扱われます。詳しくは「宅地」に当たるもの・当たらないもので解説します。
キーワード② 建物
建物とは、屋根と壁があり、土地に定着している建築物のことで、住宅やビル、倉庫、店舗などが当たります。マンションの一室のように、建物の一部だけを売買・賃貸する場合も「建物」として扱われます。
宅地と違って、建物には「どんな用途か」の細かな条件はあまりありません。試験では、建物の一部も含まれるという点が押さえどころです。
キーワード③ 取引
宅建業法でいう「取引」は、次の3つの立場と、売買・交換・貸借の組み合わせで決まります。
| 自ら(当事者) | 代理 | 媒介 | |
|---|---|---|---|
| 売買 | ○ | ○ | ○ |
| 交換 | ○ | ○ | ○ |
| 貸借 | × | ○ | ○ |
○は宅建業法の「取引」に当たるもの、×は当たらないものです。表のとおり、宅建業の取引に含まれないのは、貸借を自分が当事者として行う場合(自ら貸借)だけです。つまり、自分の所有する物件を貸す大家さんは、何件貸していても宅建業にはなりません。自分で貸すだけであれば、売買などと比べて取引の相手が受ける不利益が小さく、規制までは不要と考えられていることが理由と説明されます。
一方で、他人の物件の貸借を代理したり、媒介(仲介)したりすれば、宅建業の取引に当たります。取引の種類は「取引」の種類:自ら・代理・媒介と、宅建業にならない行為で詳しく見ていきます。
キーワード④ 業
「業」とは、不特定多数の人を相手に、反復継続して取引を行うことをいいます。1回限りの取引や、特定の親族や知人だけを相手にした取引は、一般には「業」に当たりません。
実際には、取引の相手方、目的、物件を取得した経緯、取引のやり方、反復継続性などを総合して判断されます。たとえば、広く一般の人に向けて広告を出して、何度も分譲するような場合は「業」と判断されやすくなります。また、利益を得る目的があるかどうかは、「業」かどうかの判断の決め手にはならないとされています。詳しい判断の仕方は「業」とは?不特定多数・反復継続の判断で扱います。
具体例でチェック
4つのキーワードを使って、次の例を考えてみましょう。
| 行為 | 宅建業か | 理由 |
|---|---|---|
| 広告を出して、自己所有の宅地を区画に分けて不特定多数に繰り返し売る | 当たる | 宅地の売買(自ら)を、業として行っている |
| 自己所有のアパート多数を、入居者に賃貸している | 当たらない | 自ら貸借は「取引」に含まれない |
| 他人所有の賃貸マンションの入居者募集を、仕事として何度も仲介している | 当たる | 建物の貸借の媒介を、業として行っている |
| マンションの一室の売買を、反復継続して代理している | 当たる | 建物の一部も「建物」に含まれる |
| 建物を建てる予定のない用途地域外の山林を、繰り返し売買している | 当たらない | 宅地に当たらない |
| 自分の土地を、親戚に1回だけ売った | 一般には当たらない | 不特定多数・反復継続とはいえず「業」でない |
試験でのポイント
- 「自ら貸借」が宅建業にならないことは、毎年のように出題される基本事項です。
- 「宅地」の範囲(用途地域内の土地、道路・公園などの除外)は、数字や用語を正確に覚えておきましょう。
- 宅建業に当たる行為でも、国や地方公共団体など一定の者には宅建業法が適用されない例外があります。例外は宅建業法が適用されない例外(国・地方公共団体など)で確認します。
- 宅建業に当たるのに免許を受けていなければ、無免許営業です。違反した場合のルールは無免許営業・名義貸しの禁止で学びます。
確認問題
次の記述が正しければ○、誤りなら×で答えてみましょう(答えは「答えを見る」を開くと確認できます)。
自己所有のアパートを、不特定多数の人に反復継続して賃貸する行為は、宅建業に当たらない。(答えを見る)
○。自ら貸借は「取引」に含まれないため、宅建業に当たりません。
他人が所有する建物について、貸借の媒介を反復継続して行う行為は、宅建業に当たる。(答えを見る)
○。貸借でも、代理・媒介であれば「取引」に含まれます。
用途地域内の農地の売買を、反復継続して媒介することは、宅建業に当たらない。(答えを見る)
×。用途地域内の土地は、道路・公園・河川・広場・水路を除いて宅地とされ、農地も宅地に含まれます。
マンションの一室の売買の代理は、建物の一部であるため、宅建業に当たらない。(答えを見る)
×。建物の一部も「建物」に含まれるため、宅建業に当たります。
まとめ
- 宅建業は「宅地・建物」について「取引」を「業」として行うこと
- 取引のうち、自ら貸借だけが含まれない
- 宅地は建物の敷地になる土地と用途地域内の土地、建物には建物の一部も含まれる
- 業は不特定多数・反復継続
次は、最初のキーワードである「宅地」に当たるもの・当たらないものを詳しく見ていきましょう。全体の流れは宅建業者になる:定義・免許・事務所・宅建士から確認できます。
